家の購入を検討する時最初に考えるべきは親との理想の距離

「家を購入しようかと思っている」と親に話す前に、まず考えておく必要があるのは、あなたにとっての理想の位置関係についてです。そこが曖昧だったためにツライ思いをされたご夫婦の話を交えて、親との理想の距離を考えておくことの重要性をお話したいと思います。

あなたにとっての理想の位置関係を曖昧にしたまま漠然と物件を探し始めると、物件の選別段階に入ったとき、あるいは売買契約を締結した後になって、親のさまざまな口出しにより当事者であるご夫婦が疲弊してしまったり、理想とはほど遠い物件を購入することになって長年精神的にも物理的にも苦痛のある生活を余儀なくされるといった事態が起こりかねません。

私自身もそうでしたが、家を購入する時には、どの段階かで親に話をしますよね。

「家を買おうかな」と言うと、たいていの親がその場所について口出しをしてきます。

夫婦の家でありながら、夫の親や妻の親がまるで自分の家を買うかのような勢いで良かれ悪しかれアドバイスと称して口出しをしてきます。

「あなたのため」

「〇〇の辺りなら育児の手助けができる」

「近くに住めば心強いわよ」

などなどなど。両方の親があれやこれやと言ってくるでしょう。

 

そうなるともう、冷静な判断などできる心理状態ではなくなります。

もちろん、育児のしやすさですとか、職場からの距離、買い物や交通の便など、日々の生活がどれだけしやすいかという面での検討も必要です。しかしまずは、両家のご両親の性格ですとか、自分との相性、自身の性格(どんなことには耐えられてどこまでのお付き合いならできる性格なのか)、親の世話をどこまでする覚悟があるのかなどを考えた上で、それぞれの親との理想の距離について考えを巡らせておきましょう。

この記事を書くに至ったきっかけというのも、この問題にゆれるご夫婦の苦しみに私自身が心を痛めたからです。

 

2ヶ月前、土地の売買契約をされた若いご夫婦ですが、かなり長い間、物件探しをされてさんざ検討して決められたとうかがっていましたが、契約締結から2ヶ月が経過して解除期限を過ぎてから、親がもっといい土地がある(親御さんの住まいの目と鼻の先)と言ってきて揺れているということでした。(契約を結んだ土地は親御さん宅から車で約十分)

 

契約締結以前から親御さんも物件探しを心掛けていらっしゃったのでしょうが、

契約をしたと聞いた後になって本気を出したとでもいいましょうか、

より口出しが激しくなったようです。

小さなお子さんがいらっしゃるご夫婦で、将来を夢みて理想の住まいを検討してこられたことは想像に難くなく、どれほどお悩みかと察するに余りありました。

 

ご夫婦とも、心穏やかな優しい方のようで、だからこそ余計に苦悩も深いものと

私の胸にも痛いほど突き刺さるものがありました。

このご夫婦にもし落ち度があったとすれば、

まず初めに親御さんとの距離感についてしっかり考えておかなかったことだろうと思います。

 

親はあの手この手で子供をそばに置こうとしてきます。

情に訴えたり、おだてたり、心配してるふうを装ったり、

時には相手の親のことにまで言及してみたり。

そんな中で、当のご夫婦の相方である夫や妻にも、それぞれに考えがあり、

当事者である夫婦の意見を合わせるだけでも難儀なことでしょう。

 

親が口出しをしてくるのは、子離れをしていない証拠でもあります。

つまり、口出しする親であればあるほど、物理的距離が近ければ近いほど、

監視度も高くなると考えておく必要があります。

 

それでも親と同居するのであれば(ここでは夫の親との同居の場合でお話しますが)、経済的に助かり、孫はおじいちゃん・おばあちゃんの良いところだけでなく悪い面も見えるため、お子さんはお嫁さん(ママ)の味方になる可能性も高いでしょう。

より難しいのは、親宅の徒歩圏内に住まう場合です。

親はその距離を自分にとっての理想の位置関係とまず思っていらっしゃるでしょう。

 

その場合、孫はおじいちゃん・おばあちゃんの良い面しか見えないため、おばあちゃん子・おじいちゃん子になる傾向が強く、お嫁さんの味方として心もとないです。

味方がほぼいない状況の中で、しかも親がいつでも顔を出せる徒歩圏内なわけですから、常に親の口出しと重圧を感じながらそのわがままを聞きながら生活することになります。

子供が小さいうちは子育てを助けてもらえると考えていても、それは数年のこと。

耐える時間と介護をする時間はン十年。

お嫁さんが介護する年数は最悪数十年です。

親のグチや泣き言を聞きながら我が家と親宅の二軒ぶんの家事と介護をすることになるということを想像してみましょう。

 

今や社会では男女平等化が進んでいます。

しかし家の中では、現実的には女性が切り盛りする状況は変わっていません。

そのぶん、昔よりもむしろ今のほうが、女性は生き辛くなっています。

加えて親が育てきった時代には「女とは嫁とはそういうものだ」という風潮が充分残っている世代ですから、世の中の変化を現実レベルで受け容れていません。

賃貸住まいの時には都合に合わせてフレキシブルに住み替えができるため、親のほうもその場所についてあまり口出ししてこない場合が多いですが、こと家を買うとなると途端に口を出してきます。そうなるともう若夫婦はそのことに困惑し、人生で一番大事な買い物をしようという時に頭の中は混乱します。場合によっては夫婦双方の親がまるで綱引きをするかのようにいろいろと言ってきます。

親にしてみれば、自分達の未来がかかっているのですから当然と言えば当然かもしれませんが、そこに「あなたのため」と表面を取り繕うから余計ややこしくなります。

あなたのためかどうかは、あなた自身が考え決めなければなりません。自分で決めれば悔いが残りませんし、腹を据えた覚悟とともに生きていくことができます。

特に心優しくて言いたいことが言えないという自覚のあるかたは、親に家の購入について話をする前に、事前にしっかりと考えを巡らせておきましょう。

 

 

「一応買っておいて、いざとなったら買い換えればいいや」

という考え方もあるでしょう。しかしその場合、

親との距離が遠い所から近い所へは比較的簡単に住み替えられますが、

親の近くから遠くへ住み替えるのは、心理的に難しいのではないでしょうか。

親の抵抗もいかばかりかでしょう。

 

家を買うのは誰のためでしょうか。

 

我が子が家を買う、名実共に親から独立して自立する、

それを喜べる親であってほしいと思います。

 

ここまで、親の口出しについて話してきましたが、次に

実際に売買契約を結ぶ段階の話をします。

 

よく、若いご夫婦が家の購入を検討される時に勘違いされていることが多いのが、

「売買契約の重み」つまり売買契約というものを軽く考えているという点です。

売買契約を結ぶというのは、「売りたい」「買いたい」という意思表示ではなく、

「売ります」「買います」という確約を書面で交わすものです。

ですから、迷いがある段階で軽い気持ちで結ぶものではありません。

 

よくありがちなのが、

不動産屋さんや住宅メーカーによる

早く決めないと他のかたに先をこされるかも空気。

これによってまだ夫婦で腹づもりが固まっていないのに契約にまで至ってしまうという失敗です。

そして契約を結んだ後に、親が自分の住まいの近くに物件を見つけてきて若夫婦の意思を砕くというようなことが起こります。

売買契約を結んだ後にそれを解除する場合には、手付金を放棄すればいい場合と、違約金と言って売買代金の10%(契約書に〇%と書かれていますのでその額。通常は10%から20%が多い)を支払わなければならない場合があります。これは契約書の内容によって異なります。いずれにしても貴重なお金がムダに流れてしまうわけです。

ですから、契約を結ぶ時には、それが揺らぐことのない意志なのかを、ご夫婦でしっかり確認しておくことが大切です。

 

・誰の人生を生きていこうとしているのか

・親の性格や自分との相性

・現実問題として親にどこまでのことをしてあげられるのか(してもらうことではありません。してあげられるかを考えておきましょう)

などをしっかりと考えた上で親の住まいと自分の住まいの位置関係を決める必要があります。

 

身内だからこそ、

切っても切れない縁だからこそ、

より慎重に考える必要があります。

心優しい人ほど、親のわがままに振り回されてツライ思いをします。

 

あとあと心を痛めないためにも、しっかり考えておきましょうね。

あたなを守れるのは、あなた自身です。